漢方治療は時間がかかる?

皆さん、漢方薬は長く飲まないと効かないイメージはないでしょうか。

 

たしかに、慢性のものほど時間がかかる傾向はありますが、時には長年の症状が短期間で治ってしまうことがあります。

 

たとえばこの方。26歳の男性。

 

2年前転職後ストレスが増え、この頃から少し食べただけで胃がはりゲップがでて、ひどいと胃痛がして吐くとのことで来られました。

 

何でも抱え込み発散も苦手なため、それが体の症状となって現れたようです。

 

表情が硬く、お腹をみると腹筋が張り肋骨の下がガチガチで手が入りません。

 

これは心身の過緊張とストレスに対する反応を示しており、エネルギーの流れをよくして自律神経を整える香蘇散(こうそさん)と四逆散(しぎゃくさん)という薬を処方しました。

 

すると、2週間後には「食欲がすごく出てきた ゲップが減った」とかなり改善し、1ヶ月後には「調子いい ゲップも吐き気もない」と症状が消失しました。

 

次の方は77歳の女性。

 

10代から頭痛もちで、50代から頭痛が頻繁で鎮痛薬を飲まないと外出できないとのことで来られました。

 

天気が悪くなる前から頭が帽子を被ったように重くなり嘔気とめまいもするそうで、舌をみるとむくんで歯型がついています。

 

これは水分代謝が悪いことを示しており、水分バランスを整える五苓散(ごれいさん)という薬を煎じ薬で処方しました。

 

すると1週間後、「台風がきたけど頭痛が軽かった」 

3週間後、「頭痛もめまいもなかった」 

3ヶ月後、「天気が悪くても気分がよい」とのことで、治療を終了しました。

 

こういった症例を出すと、アンチ漢方の先生に「エビデンスは?」と聞かれますが、”診断はついたが治療法はない”という嘘がないのが漢方のいいところだなと思っています。